Doctor Interview

医師インタビュー

前向きに帰ってもらえる診療を。
これからの生活を支える認知症外来

精神科医/本田 結花

診療で大切にしていること

  • はっきり、大きな声で、ゆっくり話す
  • 事実を隠さず正直に伝える
  • ご家族の「困りごと」を置き去りにしない

医師になったきっかけは?幼い頃から「医者になる」——救急で見えた精神科の必要性

医師を目指した理由は、実は自分でもよく分かりません。3、4歳の頃から「医者になる」と言い続けていたようで、人体の図鑑などを読むのが好きな子どもでした。

研修医の頃は救急科も考えていましたが、救急搬送される方の中に「精神的なケアが十分でない」ために追い込まれているケースが思った以上に多いと感じたんです。そこを減らせたら救急医療の助けになる——その考えが決定的になったのは、研修で精神科を回った時です。「一生入院している」という当時の世間的なイメージとは違い、思ったよりも回復して退院できる方が多いことを知り、「治療に参加できる」実感が、精神科を選ぶ決め手になりました。

診療で大切にしていることは?「伝わる」を最優先に。検査も支援も“その人基準”で

ご高齢の方や認知症の方との診察では、「はっきり、大きな声で、ゆっくり」話すことを大切にしています。難しい言葉を使わず、ポンポンと分かりやすく伝える方が、患者さんには安心して聞いていただけます。また、検査結果や脳の萎縮などの事実は、隠さずに正直にお伝えします 。事実を共有した上で、「ではどう生活を支えるか」を考えることが重要だからです。ご本人だけでなく、ご家族の困りごとにも目を向け、介護の負担や不安をどう軽減できるか、一緒に具体的な支援策を考えていくことも大切にしています。

担当の診療科について高齢期を専門とし、認知症の悩みに特化した外来

私が担当している高齢期精神科では、認知症の診断と治療が中心です 。当院は東京都から認知症疾患医療センター事業の委託を受けており、地域包括支援センターからの紹介や、いわゆる物忘れチェック(オレンジチェックなど)をきっかけに来院される方が多くいらっしゃいます 。ご本人が一人で来られるより、ご家族に勧められて受診されるケースが多い印象です。
初診では認知機能検査を行い、必要に応じてCT/MRIで脳の状態も確認します。薬を始める場合は早めに(まずは1か月以内に)経過を確認し、安定すれば2か月ごとの通院に調整します。薬を希望されない方でも、半年〜1年に1回、変化がないかフォローすることがあります。他にも、介護保険の申請をお手伝いしたり、デイサービスや当院のデイケアを紹介したりして、ご家族が介護で疲弊しないよう、具体的な解決策を提案します。

得意な領域や疾患は?「治らない」から「希望ある分野」へ

かつて認知症は「治らない病気」の代名詞でしたが、現在は早期に発見し治療を開始することで、その後のQOL(生活の質)を劇的に変えることができます。進行を穏やかにするだけでなく、将来的には認知症という病気そのものがなくなる可能性も秘めた、非常に進歩の速い分野です。薬による治療のみならず、環境調整や介護サービスで日常生活を守ることもできます。患者さんが少しでも長く、その人らしく前向きに暮らしていけるよう、医学的な進歩を日々の診療に繋げていくことにやりがいを感じています。

受診される方へ「来てよかった」と前向きに帰れる場所を目指して

精神科という場所に「暗い」「怖い」といったイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、当院は明るい雰囲気ですし、私自身も明るい診察を心がけています。

受診前に2点だけお願いがあります。一つは、3か月以内に他院で認知機能検査(長谷川式やMMSEなど)を受けた方は、検査名と点数を受付時に教えてください。同じ検査を繰り返す負担を減らせます。

もう一つ、ご家族の方でご本人の前で話しにくいことがある場合は、先に看護師へ伝えてください。検査中に、ご家族だけでお話しする時間を調整できます。 ご家族だけで抱え込まず、まずは一度、相談に来てください。みなさんに合った「より良い生活」を一緒に探しましょう。私も「相談に来てよかった」と前向きな気持ちで帰っていただけるよう、全力を尽くします。

本田 結花

所属

大内病院 精神科

専門分野

高齢期精神科

略歴

2017年高知大学医学部卒。卒後は関東エリアにて初期研修を修了し2019年より精神科医としてキャリアをスタート。大内病院には2023年10月に入職。以降、高齢期の患者をメインに担当。

ひとこと

オフの日はしっかり寝て休むほか、図書館で一般向けの認知症の本を読み、皆さんがどのような知識を持って来院されるのかを学んでいます。