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ご挨拶

近年、我が国では精神障がいの患者さんに入院主体ではなく、地域で生活していただくことを主体とした支援を行うことの重要性が高まっています。当院でもその流れを受け、一般の入院治療や外来診療に加えて、一般精神デイケア、認知症デイケア、精神科訪問看護、包括的地域生活支援プログラム(ACT)、訪問リハビリテーション、入院中の身体的リハビリテーション、多施設連携などのサービスを拡充していき、様々な診断や生活機能の患者さんが地域社会でその人らしい生活を送るための多面的な支援ができるようになりました。

足立区は広く、平らな地形で、いくつかの川が流れる一方で、山や海はありません。坂道も少なく、高い建物も稀です。少し高い場所に上がると、空が広々と広がり、東京の中でも開放感のある、とてものどかな地域です。当院は、この足立区の中心からわずかに西に位置し、昔は田園地帯にポツンと建っていたと聞いています。時代が移り変わり、人口が60万人を超える大都市に発展する中で、当院は地域のニーズに合わせて少しずつ形を変えながら精神的な問題に悩む地域の方々を70年以上支え続けてきました。

当院ではこれからも、患者さんと患者さんを取り巻く社会が快適に過ごせるよう、地域に根差した医療を提供し続けます。また、変わりゆく時代に合わせて当院も形を変えながら、その時代に最も適した精神科医療を提供できるよう努力してまいります。
もし精神的な問題に悩み、生活が大変になっていることがあればぜひご相談ください。私たちと一緒につらい状況を打開する方法を考えていきましょう。

大内病院 院長

谷 将之

日本は、精神科ベッド数が世界一多いという大きな問題を抱えています。諸外国で精神科医療が地域移行を進めている中、日本は依然として入院中心の精神医療から脱却できていません。これは、入院を中心とした精神科の診療報酬体系と、地域資源への予算配分の不足が原因です。その結果、地域資源の不足と人員配置の少なさが相まって、患者さんの十分なケアが困難であり、長期入院を招いています。

東京都足立区にある大内病院では、老朽化に伴い全病棟の新築工事を段階的に行っています。新築後は病床数を344床から228床に削減し、患者さんが本質的に改善し、地域へ戻ることができるよう、対症療法ではない取り組みに力を入れていきます。不要な長期入院を減らし、地域移行を促進することで、あるべき姿への転換を目指します。

しかし、入院医療の改革だけでは十分ではありません。安心して生活できるためには、充実した地域資源が必要です。入院医療改革と地域資源の充実は、精神医療改革の両輪であり、同時に進める必要があります。

現状、日本では地域資源が著しく不足しています。これを解決するためには大きな努力と資金が必要となるため、平成医療福祉グループ全体で支えながら、このビッグプロジェクトの実現を目指しています。
地域のみなさま、同業者の方々、地域精神ケアに関わるみなさま、当事者の方々、ご家族のみなさまと、一緒により良い地域社会を構築し、多くの方が幸せを感じられる未来を目指していきたいと考えています。当院の取り組みへのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

平成医療福祉グループ 代表

武久 敬洋