Doctor Interview

医師インタビュー

うまく話そうとしなくて大丈夫。
ことばを急がせない精神科外来

精神科医/小久保 洋介

診療で大切にしていること

  • うまく話せなくても安心できる場をつくる
  • 症状だけでなく「生活」をいっしょに診る
  • 合う薬・合うペースを一緒に探していく

医師になったきっかけは?『ブラック・ジャック』が医師への入口に

医学部を目指したのは高校生の頃です。もともと全く興味がなかったのですが、親から「医学部に行ったら?」と1年くらい勧められていて。ある日、親が手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』を全巻並べておいたんです。僕は漫画に影響されやすいので、読み終わる頃には「医者になろうかな」と思っていました。完全に親の作戦勝ちですね。

精神科を選んだのは、大学5年生の頃の講義がきっかけです。統合失調症などの患者さんが見せる一見、突飛に見える妄想や発言も、人間に必要な「発想の飛躍」が出過ぎてしまった結果として捉えると、人間の思考の不思議さやそういった症状の出現の仕方と言った部分に強く興味を持ちました。今も、一人ひとりの世界の見え方・感じ方に敬意を持ちながら診療にあたっています。

診療で大切にしていることは?「うまく話せなくていい」空気づくり

外来では、まず「上手に話してもらうこと」ではなく、「安心して話し始められること」を大事にしています。悩みを言葉にするのは、とてもエネルギーのいる作業です。「何から話していいか分からない」「うまく説明できない」と感じる方も多いので、沈黙や話し方を否定せず、そのまま一緒に整理していきます。

診断名や薬の調整も大切ですが、それ以上に大事なのは、その人の生活や背景です。これまでの生活歴や、これからどう過ごしていきたいかを伺いながら、「治す」だけでなく「続けていける暮らし方」を一緒に考えます。そのために、薬はできる限り生活に支障が出にくいもの・量を相談しながら選ぶようにしています。

担当の診療科について様々な悩みに、長く寄り添う一般精神科

大内病院の一般精神科では、統合失調症、うつ病・双極性障害などの気分の病気、発達特性に関連した対人関係や仕事上の悩みなど、幅広いご相談をお受けしています。入院が必要なほど症状が悪化した方が、退院後に外来で通院を続けるケースも多く、長い時間軸で関わる診療が特徴です。

診察では、これまでの経過や服用中の薬、お仕事・学校・家庭での様子、生活リズムや安全面などを丁寧に確認します。必要に応じて検査を行ったり、デイケア・訪問看護など院内外の資源につなぎ、日常生活を支える体制を一緒に整えていきます。年齢や症状の幅は広く、「どこに相談していいか分からない」という段階のご相談も歓迎しています。

得意な領域や疾患は?

特に長く診てきたのは統合失調症の方々です。原因がまだ完全には分かっていない病気ですが、糖尿病などの慢性疾患と同じように、「病気と付き合いながら、できるだけ自分らしい生活を送る」ことを一緒に目指します。薬で脳のバランスを整えつつ、仕事や家事、人との関わり方など、その方らしい日常をどう守っていくかを考えます。
もちろん、うつ病や職場の人間関係の悩みなど、どんな方でも拝見します。 私が一番嬉しいのは、患者さんが治療を経て社会に戻り、「その方らしく」いられる状態まで回復される姿を見ることです。何かあった時にはまた頼れる場所として、長く見守り続けたいと考えています。

受診される方へ不安なままでも、まずは一度お越しください。

精神科を受診する前は、「ちゃんと話せるだろうか」「うまく伝えないと迷惑かもしれない」と不安になる方が多いと思います。ですが、最初から整理して話す必要はまったくありません。途切れ途切れでも、話が行きつ戻りつしても大丈夫です。こちらから補助的な質問をしながら、時間をかけて一緒にほぐしていきます。

「うまく話さなきゃ」と気負わず、今の困りごとをそのままお話しにいらしてください。まずはそこから始めましょう。

小久保 洋介

所属

大内病院 精神科

専門分野

一般精神科

略歴

2003年昭和大学医学部卒。卒後は同大学の精神科医局に入局し、烏山病院や大学の関連病院にて勤務。大内病院には2010年10月に入職。以降、当院にて15年にわたって勤務。2024年9月から診療部長を務める。

ひとこと

オフの日は、職場の看護師さんたちと『COD(コール オブ デューティ)』などのゲームをしたり、最近は息子と『マリオカート』もしますが、手加減が難しくて。僕が勝つと息子が不機嫌になるし、わざと負けるのも大変で苦労しています(笑